お知らせ|2021年05月18日
大学のキャリアセンターで就活支援は、教育なのか?自立支援なのか?
4月より、大学のキャリアセンターで就職相談をさせていただております。
週2回、午後からの短時間ではありますが、現在の大学生の考えや価値観、そして行動について日々驚きと学びがあります。
そんな中、最初に感じた事は、「キャリアセンターの役割って何?」ということです。
大学生へのキャリア支援は、
「教育」なのか
「自立支援」なのか
キャリアセンターで大学職員の方と一緒に面接練習に入る事があります。
その際に感じたことは、大学のキャリアセンターの職員の方々は、
「大学という教育現場にいる学生」として対応しています。
つまり、教育という視点で学生に接しています。
教育という視点と判断したのは、
「学生にこんな場合はこういう行動する。」
「こんな時には、こういう対応をする。」
という事を教えていくという対応を取っているという点からです。
キャリアコンサルタントとして接している立場からすると、社会人として自立していくための自立支援を行っても良いのではないかと考えています。
社会人として自立していくための第一歩として、「自分で考え、選択する。」ということを実践していきたいという想いを持っています。
しかし、大学職員の方々は、どうしても「教育」という視点を持っているため、正しい答えや行動とを伝えます。
そこに、本人で考え、決定させるということはありません。
そこで、
「大学生の就職活動って何?」っていう疑問が湧いてきています。
1、大学生の就職活動の目的とは?
大学生が就職活動する一番の目的は、卒業後に働く会社(組織・団体)を見つける事です。
では、目標はというと、人によって違っていますが、
・大手企業に入る事
・やりたい仕事に就くため
・1人暮らしができる給料を貰うこと
・自己実現
・社会貢献
等、人によって様々だと思います。
就職する目標は、様々ですが、目的は皆さん一緒ではないでしょうか?
しかし、就職活動での目的を達成するための課程では、様々な自己成長が出来る貴重な時間ではないでしょうか?
職種を決めたり、業界や企業を探すという課程で、自分に向き合う時間を否応にも持たざ得ません。
そんな中で、自分について悩んだり、今までの自分を振り返ったりしながら、自分の特性を見つけ出すという時間を持つ。
そんな自分自身を内省する時間は、自分自身を成長させる貴重な体験です。
就職活動のもう一つの目標は、自己成長です。
2、大学生の就職活動の課題
大学生の就職活動は、自分自身を成長させる貴重な体験です。
そんな貴重な体験ではありますが、就職活動では時間と忍耐が必要になってきます。
今まで自分中心だった考えを、他人が感じている自分を意識しなければなりません。
しかしながら、今まで意識してこなかった事を、いきなり就職活動する事になったとたんに、意識せざるを得ないというのは、大学生にとって大変な意識改革です。
すぐに出来る人ばかりではありません。
また、今までやったことがないことをいきなりやれと言われてもすぐには出来ません。
本人も周りもジレンマを感じてしまいます。
そこで、そのジレンマで困っていることを察して、聞かれていないアドバイスを先手を打って伝えている。また、自分で考えることなくアドバイスがあって当然と思ってしまっています。
与えられることに慣れてしまい、自分でリスクをとってでも選択する、決断するということをさけるという行動をとっています。
この行動が他者依存傾向になったり、リスク管理が出来ないまま社会に出ることになってしまいます。
いつになったら、自分のことは自分で決めるということが出来るようになるのでしょうか?
3.大学生の就職は、自立支援なのでは?
本来ならば、今までの生活の中で、自分で選択し決定することを訓練してきたはずですが、学生になってもまだ経験がない方もいます。
何もわかっていない人を見ると、つい手を出したくなったり、先手を打って、苦労させないようにすることが、ますます大学生の思考の低年齢化を加速しているように感じています。
私の考えは、大学生へのキャリア支援はあくまでも自立支援であるほうが良いと考えています。
そのため、どんな小さな決断でも自分で行って貰っています。
アドバイスはするけれども、選択肢を残した状態にとどめておくと決めています。
大学生へのキャリア支援の現場では、まだまだ教育と自立支援という目的の違いの鬩ぎあいが続いていきそうです。
しかし、外部から派遣されているキャリアコンサルタントの役目としては、教育ではなく自立支援での立場を貫こうと思っています。